自宅前で合流し、山小屋に向かったのが朝の6時。
前半の森の中をぬうようになだらかな道を登っていたときは、わたしにはとても登りきれないと諦めがちだったけど、牛を追う楽しみを覚え1時間ほどが経ち、
後半の急勾配に入ってみると、おじさんたちが予想していたよりかなり気温も低く、牛たちも暑さに負けることなくすいすいと私たちと一緒に山道を登ってくれました。
この牛たちの持ち主、レンツォさん、通称フンスィーノさんは、小柄でちょっと怖い顔つきの人ですが、親分肌の人。わたしが一緒に仕事に参加したいのだとわかると、
「おい、あそこの牝牛、あいつをこっちまで引き戻せるか!」
と、わたしをちょっと使ってみてくれました。
「もちろん!」
わたしも得意顔で(内心ちょっぴりふあんだったけど)大きな牝牛の右手に回り込むと、他のおじさんの見様みまねで牛の鼻を杖の先で叩きます。(だって、これが一番効き目がありそうだったから)
牛は、意図したとおり、嫌がって向きを左に変え群れにもどってくれました。ほっと一安心、フンスィーノの前で恥をかかずにすんだわ。
そんなこんなでさらに一時間ほどで心臓破りの坂を上り終えます。
平坦な道を30分ほどさらに進んで山小屋に到着!!
信じられない!わたしも牛と一緒にのぼれたなんて。
でも、マルガーリの人たちは、一休みなんてとんでもない、まだまだやることがあります。
牛を、仔牛、成牛と分けて決められた小屋にいれなければなりません。
それに、今日は搾乳機がまだ使える状態になっていません。機会を消毒して設置し、使えるようになるのは明日から、、、
「お前らついとるのぉ。どれ、ちょいと搾ってみるか」
おじさんたちは、にやにやと笑いながら、牛を追ってきた疲れもわすれたように、さっさと乳搾り用の三脚を牝牛のお乳の前に据えると、リズミカルに乳を搾り出しました。
あっちでもこっちも、搾ったお乳のバケツに落ちる音がします。
わたしは、おもむろにデジカメで動画を取り出したのですが、
「おい、三脚が足りないぞ!いっこどっかで都合してこい!」
後ろからフンスィーノの声がかかり、わたしは慌てて三脚の調達に!!
それらの作業がおわるとかれらはようやく一休み。
三脚に腰をおろし、お喋りが始まります。
わたしはレナータたちと食事の準備。こうして、午後の1時過ぎにようやく私たちはテーブルを囲んで、ワインとチーズでお互いの労をねぎらったのでした。
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