12月の第二週目の水曜にモンカルヴォでは毎年恒例の去勢牛の品評会があります。もう百年以上も続いています。
これにはモンフェッラートを中心にピエモンテの広い地域から多くの精肉店が参加します。
私の住むビエッラからも自分の目利きに自身のある精肉店が何軒か参加しています。
ここでちょっと説明すると、日本では家の品評会いわゆる共進会には肥育家が参加しますが、少なくともピエモンテでは精肉店が肥育者から肥育途中にある牛を購入し、その目利きの力が品評会では争われます。
品評会が終了するとその牛は生産者から精肉店の手に渡り屠畜場にまっすぐ連れて行かれる決まりになっています。もちろん牛のすり代わりなどを防ぐためです。
カテゴリーも幾つかに分けられていますが、メインは4歳の去勢牛。これで1等をとればそのお肉の価格は大きく違いますし、それに店の名もあがります。その牛の買い手は肥育家に予め決めておいた率のプレミアをつけてその牛の代金を払います。だから肥育家も必死。
生まれつきの質が良くしかも肥育環境の良い牛を探して肉屋は、この場合モスカさんですが、週に一回は生産者を回ります。まずは牛を選び、選んだらその牛の生育状況をチェックするのが目的です。固定で契約を結んでいる生産者(肥育家)はいません。
しかも、買い付けにも決まりがあって、アスティ以北の生産者とは自分達で直接交渉できますが、以南のほうでは必ず仲買人を通さなくてはなりません。モスカさんも代々でつき合いのある仲買人がいます。
モスカさんほど名の知られた精肉店でもその決まりはきちんと守ります。
契約農家はいなくとも、この日最初に訪れたパオロさんの牛をモスカさんはここ数年連続で購入しています。
パオロさんとその義弟のマウリツィオさんの飼いかたは他のどの肥育家とも違いました。まず厩舎がきれい。設備がいいというのではありません。でも床にしかれた干草はどこも乾いていて糞で汚れてもいない。一日2回変えるからです。たっぷりふわふわにしかれた草のおかげで牛が怪我をしなくてすむ。
飼料だって、5,6種類をまぜて食べさせます。しかも一頭につきバケツ一個を与え、その食べ残しもチェックするといった具合に徹底しています。そして最後は『卵』生卵を食べさせるのだそうです。
なんだか私の栄養管理状態より条件は良さそう。、、、いいえ、もちろんこのままで結構、去勢牛になりたかったなんて思いませんよ。
さて、パオロさんのところを去ると次はトンでもない牛を目にすることに!
この続きは次回に、、、
にほんブログ村 PR