ボットさんは、繊維会社のオーナーです。
彼一代で今の会社を築き上げました。そんな人ですから当然、経済やビジネスの話をするときは瞳の奥に冷たく鋭い光も感じます。
平日はその会社を創る前から住んでいた小さなアパートに住んでいますが、10年ほどまえ森の中のヴィラを買い取りました。
理由は、彼の趣味のハンティングに使う猟犬をまず飼うスペースを確保するため。
イギリスのコテージ風の家屋には確かに1ヘクタールほどの牧草地がついていてそれも一緒に購入しました。かれは週末だけそこに寝泊りし、夜明け前にハンティングと釣りへでかけていきます。
原始人とわたしは週末よく彼のところにあそびに行きます。ちょっと世捨て人のようなかれのスタイルや、それがハンティングの話となると急に熱にうかされたように話し込んだり、それでも決して消えない独特のシニカルなフレーズが彼の口からこぼれるのを拾って大笑いするのがわたしは大好きです。
かれの森には倒れそうなこんな木があります。手伝いに来た近所の農家の人が切り倒そうといったのですが、彼からすればとんでもないことです。
だって、こんなに楽ちんにサクランボをとって食べられるのですから。
野生のサクランボの木で樹齢もかなりいっています。きってしまうなんてもったいない!
ボットさんは昔の物のなかった時代、100km離れた川に行き釣った魚で飢えを凌いだ話などとても楽しそうにしてくれます。
彼の目標は年間5000ユーロで暮らしきること。贅沢をしないで生きるのが彼の目標!
彼は数年前、後継者がいないため会社を閉じることに決めましたが、会社はまだ続いています。最後の従業員が転職するか定年になるまで生活を保証するため皆がいなくなったら閉じるそうです。
したたかで、一匹おおかみのような人ですが、同時にヒューマニティーも隠れたところにあって会うとほっとします。
このところ忙しくて数ヶ月ほとんど会っていませんでしたが、先日久々に遊びに行き、テラスでお喋りしているとこんなお客さんがやってきました。
判別できましたか?
この子です。
Ramarroというエメラルドグリーンの美しい蜥蜴です。
ピエモンテでもモンフェッラート地域ではよく見かけるのですがビエッラではちょっとめずらしい。
わたしはこのラマッロを見つけた日はいい事があると自分だけの迷信をつくって喜んでいます。
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