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ピエモンテからぶじゃねんの陽だまる山郷生活

BENVENUTI ALLA CRONACA DEL BôGIA NEN ! ピエモンテの山郷でのんびり生活しています

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ベルカ、新しい我が家の住人が野生を呼ぶ

まだ、我が家の新しい住人をご紹介していませんでした。
名前は『ベルカ』。

 名前の候補は20以上あった気もしますが、古川日出夫さんの小説『ベルカ、吠えないのか」を原始人はイタリア語、私は日本語でちょうど読み終わった頃で、なんとなとなくこの名前に決まりました。
 獣医さんで登録をした際にはチェコスロバキアン・ウルフとして登録しましたし、事実、犬種としてはそうなのですが、実は彼のおばあちゃんは野生のアメリカオオカミ。

 この子が我が家にやってくるにはいろいろ経緯があります。

親子でスリーショット


 登山家、冒険家として知られるあるイタリア人が10年ほど前、あるきっかけで2匹のオオカミを連れ冬のノルウェー単独縦断3000キロに成功。
 過去に一度挑戦したものの孤独に負け断念。その後、オオカミの子犬を2匹をもらい受けて育て、彼らを伴って再トライ、見事北極圏に到達。その手記が2006年に出版されました。


 この本はオオカミ好きや自然愛好家、登山愛好家の間で大きな反響を呼び、今でも再版が続いています。

 2006年当時、村の文化評議員をしていた原始人も子供の頃から大のオオカミ好き。この冒険家を招き講演会を企画。会場はすぐにいっぱいになるほどの盛況ぶりでした。

生後半年ごろ
 
 2013年2月、家族のようにかわいがっていたジャーマンシェパードが亡くなり、気落ちした私たち。すぐには新しい犬を飼う気にはなれず、もうすぐ1年がたとうというころ、講演会以後すっかり連絡が途絶えていた前述の冒険家から私に連絡が入ります。

 北極圏近いラップランドで新しい事業を始めた為の翻訳依頼でした。対応で電話に出た原始人、私の了解を得るまでもなく快諾。
「ところで、オオカミの子供がいたりしない?」
「えっ!?何で知っているの?」と、冒険家。

 原始人は期待半分で当てずっぽうにいったのですが、実はノルウェイ縦断の際について行ったオオカミたちは亡くなっているものの、現在、その血を引くオス(母親が前述のオオカミの妹)チェコスロバキアン・ウルフの間に子供が生まれる予定だというのです。(野生のオオカミから3代目なら法的にも一般家庭で飼うことができます。)
 
引き取りに行った際のテントの中で

 私は彼のために翻訳をする代わりに、子犬をもらい受ける約束がその場で取り交わされました。翻訳は楽ではなかったけれど、このオオカミ犬を引き取りたいという申し出はすでに800件を超えていたものの、私たちのリクエストは受け入れられました。

 が、他にも条件が、、、

まず、彼の住むコルティーナの標高1600メートルの山荘にまで子犬を選びに行くこと。その場で、この子たちを飼う資質を私たちが持っているか冒険家さんに品定めされました。

そしてその後、さらに高地、まだ残雪が6mもある標高2000メートルの野営地に子犬を引き取りに行き、彼らの住む環境を理解するために2泊すること。『野営地』とは、本当に標高2000メートルの酷寒の地にアメリカン・インディアンのテントを張ってあるだけ。中は小型ストーブが一個。

彼らを飼うには大きな忍耐が必要になるため、ここでも冒険家さんに試されることに。
彼は『例えばお金ならいくらでも出すからオオカミ犬を売って欲しいという人には渡したくない、生半可な気持ちで飼い、後で問題をおこして僕の手元に戻されるようなことは絶対的に避けたい』と何度も繰り返していました。

  で、言い出した以上、引き下がりたくない原始人。かんじきを履いて3時間かけ目的地に到着したものの、寒さと、子犬が一晩中入れ替わり彼のお腹の上を行ったり来たりで眠れない。
  翌朝、なんのかんのもっともらしい理由をつけ、ベルカと一緒に下山するゆるしを冒険家からもらいます。

  こうしてすぐさま、5時間車を飛ばしてソルデヴォロに戻ってきた原始人。
あの日からかれこれ10か月がたちました。

  ベルカの体重も17キロだったのが42キロ。心はまだ幼いけど体はほぼ一人前です。
雄大な自然の中で腕白に育っていた彼に人間の暮らしに馴染むためのルールを知ってもらうための格闘中です。
  車に乗って移動する。人と(特に女性や子供)遊びたくても飛びかからない、噛むことでコミュニケーションをとろうとしない、バールでおやつをもらいたくても待つ、ほかの犬にアグレッシブにならない、などなど。

  これらを少しずつでも覚えてくれている彼。でも一番変わったのは私と原始人の生活でしょう。 これからも折に触れ、彼のことをお話ししたいと思います。


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実に明快!2010年秋、ソルデヴォロ村に滞在された公楽さんご夫妻が紀行文を寄せてくださいました。読めばソルデヴォロ時間が流れるでしょう。

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