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ピエモンテからぶじゃねんの陽だまる山郷生活

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イタリア、この頃のバン事情

イタリアで本当に美味しいパンに出会うことが少なくなってきている。
粉をこねてパンを作るパン屋がなくなってきているからだ。

大半が、一次発酵までを済ませたパン種を仕入れて二次発酵からを自分の店で行う。でも他人の配合で、他の店でも使われているパン種を焼いていったい『自分の店のパン』と呼べるのだろうか。

ビエッラで粉からこだわって焼いているパン屋は一件(粉の卸店がビエッラで粉をおろしているのはその店だけといっていた)。

他にビエッラ郊外の小さなヴェルモーニョという村にある売店ではナポレオンの時代からある村のパン焼き釜を使って今でも昔ながらのパンを焼いている。

どちらも、決してお洒落なパン屋なんかではない。床には小麦粉で汚れたのをほうきで掃いた跡が残っているような店だ。

戦前、パンを焼くのはこの辺りでも一週間に一度だった。村の人たちが粉を持ち寄り、共同の釜で一緒に焼き、まだ熱い焼き立てを自分の分だけ自宅に持ち帰っていった。

つまりそのパンを一週間食べ続けるのだから、パンは一週間経っても食べられるものでなければならない。

モンフェッラート地域に自分でパン釜を作り、粉から昔と同じパンを焼いている友人がいるが、彼のパンも確かに一週間も平気なくらい皮が厚く、決して柔らかくはないが噛みしめるごとに味わいの深まるそんなパンだ。昔のパンはまさにそんなパンだったのではないかと思う。

わたしはビエッラ市内で有機小麦のみを使って焼いている前述のパン屋でいつも直径40センチの全粒粉のパンを一個分けてもらってそれを一週間で食べきる。焼かれた日のモチモチした直感も好きだが1,2日経って少し硬くなったのを肉の煮込み料理のソースを浸すとなんともいえない。

店でパンを売ってくれるのは低血圧のばあさんで憎まれ口をたたきながらパンを売ってくれるこのばあさんがわたしは大好きだ。店の奥には彼女の息子が昔からの釜の前で無口にパンをこねる。亡くなったばあさんのご主人に叩き込まれた腕だ。

このパン屋は食の評論家マッソブリオのガイドブックで『夜中のパン屋』とあだ名がつけられた。ばあさんはほとんど眠らない。

朝7時からお昼までパンを買いに来る人の相手をし、午後も3時過ぎにはまた店を開け、夜になるとパンの仕込みに来る息子の相手をしながらとにかく店を開けている。

週末にはディスコ帰りのお腹をすかせた若者ののために切り売りのピザを多めに焼き、明け方までやっぱり店をあけている。

全粒粉のパン、バゲット、オリーブ入り、ケシのみ、胡桃の入ったバゲット方のパン、モンフェッラートで生まれたパスタドゥーラと呼ばれる香ばしさが売りのパン、そしてトマトソースにチーズとアンチョビだけのシンプルな切り売りピザ、ホットドッグ。どれをとっても素材に手抜きのない。『Feliceな(幸せな)パン』ばかりだ。

自分の一生を困難な時間帯で仕事をしながら終えるであろう人たち。映画「月の輝く夜に」に登場する独特な人物像は実は真面目にパン作りに打ち込む人たちの間には結構有り勝ちなのかもしれません。
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