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ピエモンテからぶじゃねんの陽だまる山郷生活

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カルメーロが理髪店でヒゲをあたるとき Part 2

 シチリアで出会ったシェフ、カルメーロとのエピソードの続きをお話しましょう。
GrandCanyon.JPG
カルメーロの実家に到着したのはお昼時。グランド・キャニオンのような荒野で野生のアスパラを積んで2時間。

 「そろそろヒゲをあたりにでも行くか」
カルメーロはそういうと車に乗って独りでどこかに消えて生きました。わたしたちは一体どうなるのか!?

 カルメーロのお姉さんが、「じゃ、あたしたちも」と促され彼女の車についていくことに、、、でも、どこに行くのかも、これから何をするのかも全く聞かされていません。
 
 イタリア人はいい加減だという固定観念がありますが、北の人は案外そうでもないんですよ。原始人など朝起きると休みの日でもその日の予定はきちんと決めてから行動します。それが普通です。
labarba.JPG
 ですから、見知らぬ地で次に何が起こるかわからない、こんな状況はイタリア人である原始人にもちょっと不安。でも、ここでお固く説明を求めるのはかれの原始人としてのプライドが許さない。自分のメンタリティーに弾力性がないと思われるのはいやなのでしょう。
 

 それに不安でいうなら一緒にいたニュージーランド人の音楽家夫妻はなおさらだったでしょう。周りに英語が喋れるのは友人のジョバンニ、それとわたしが半人前に喋るくらいですから。

 その1時間後、私たちはシクリの街の真ん中でカルメーロの到着を待っていました。彼のお姉さんは
「かれはヒゲを剃るのよ、これから。でも姪っ子の友だちにアペリティフをさっそてるの」
 、、、どうも、この二つがつながらない。ヒゲ?アペリティフ?で、どっちが先?

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そのうちにカルメーロが到着!あれれ、でも小脇にワイン6本入りの箱を抱えています。おもむろにそれを原始人に渡すと自分ももう一箱抱えて歩き出します。
Barbiere.JPG
 そのうちにもう一人、カルメーロの友人のエンリーコが路上で加わります。え?ギター持ってきたの?何で?
あれ、そのうちに大きなビデオカメラを背負った屈強な男性。おっしゃれに着飾った女性もどこからか現れ、そこにカルメーロの高校生の姪っ子さんとその友人たち。総勢15名はいたでしょうか。まるでハメルンの笛吹きのよう。

 「そろそろ入るか」とカルメーロ。でもどこに?「Barbiere(床屋)だよ」と、おもむろに道の向かいにある床屋さんに入ります。

  モダンな感じの小さな床屋では実際にヒゲをあったている人がいました。でもそこでカルメーロはワインの栓を抜き出し、おつまみもどこからか出してきました。
enrico.JPG
 エンリーコはギターを手に陣取るスペースをそこあそこと探し出します。
「このへんはどうだ?」と洗髪用の椅子に腰を据えるとポロロン♪♪ジャガジャン♪ リハーサルをはじめます。

 みんな普通のことを当たり前にやっているかのように歌い、飲み食いを始めます。わたしも原始人も、NZ人夫妻もきょとん、、、 たった一つアブノーマルなのは大真面目にカメラを回している大男だけ。
allinterno.JPG
 その時点で初めてカルメーロが原始人にこういいました。
「わかんないかなあ、Barbiereなんだよここは。Bar-biere、つまりBar (バール)da bere(飲む)だろ。ただヒゲ剃ってるだけじゃおんもしろくない。」

 どうもカルメーロが床屋の主人と前もって打ち合わせておいた小さな吃驚イベントだったのでした。でも、床屋のお客さんはそんなこと知りませんから吃驚!クリームを顔に塗られて剃刀を手にした理髪師の前で身動き出来ない。まわりのなすがままです。

 カルメーロたちは床屋にはいってくる人にだれかれ構わずワインとおつまみを振る舞います。その赤ワインのまた美味しいこと。プラスチックのコップで出されるのが残念なくらい。

 ラベルこそ貼ってありませんが、なんと昨日一緒に尋ねたエノロゴに作ってもらったカルメーロ専用のビオロジックワインだそうです。美味しいはずです。
cavatap.JPG
 「バール・ビエレ」というこの企画、実はSkyTVの番組の撮影もかねていました。多分、カルメーロの番組に使うんでしょうね。

 酒盛りは延々9時過ぎまで続きました。同じイタリアでもピエモンテのこつこつ真面目に暮らす人もいればシチリアで偶然性をこんなにフルに楽しんで暮らす人もいるんですね。
 ただし、それを楽しむには多くを求めてはいけません。あるもので、今、目の前にあるものの良さを自分の目で評価して満足できる力が必要です。

 簡単なことに思えますか?日本では多くの場合、情報の基本はマスメディアにあります。活字になって初めてナンボのところがあり、そういう生活に慣れてしまっているとその場で起こっている偶然の面白さを100%楽しむのは難しい。

 わたしはその既成価値観に支配された社会とイタリア的主観による生活の境でまだうろうろしているのだとこのとき思いました。気づかせてくれたカルメーロとその友人たちに感謝です。  


 

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