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ピエモンテからぶじゃねんの陽だまる山郷生活

BENVENUTI ALLA CRONACA DEL BôGIA NEN ! ピエモンテの山郷でのんびり生活しています

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ストゥピダッジネ(ばかげたこと)

「今日僕はばかげたこと(Stupidaggine)をしてしまったよ」
夫クラウディオが帰宅するとワイシャツを脱ぎながら話し出しました。

夕飯の支度をしていた私は彼がこれまで何百としでかした失敗談にもう一つが加わるのかとすでに吹き出しそうになりながら耳だけかしています。

「今日ねオフィスから郵便局に向かう途中、年配の女性が物乞いをしてきた。今晩自分も子供も食べるものがない。なにか恵んでほしいというんだ。」

この人(夫)は物乞いをする人を見かけると必ず1ユーロくらいは渡します。馬鹿なことしたというからにはきっとそれ以上を渡したに違いないのです。

以前、現金の持ち合わせがあまりないのに自分のお昼代にするはずだった5ユーロを渡し、彼自身は昼食を抜いてしまったことがあるのですがその5ユーロを渡した男がジェラートをおいしそうになめているのに出くわした経験があります。

「、、、で?一体いくら渡したの?」私は10ユーロから20ユーロくらいだろうと検討をつけ、笑ってやる落ちまで想像しながらたずねると

「お金を上げる代わりに近くの肉屋にいってローストチキン一羽とフライドポテトを買って渡したんだ」と彼。「、、、しめて11ユーロだった」と

「その人は品物で受け取って困ったんじゃないの?現金でほしかったんでしょ?」

「ところが僕にすがって泣きだしたんだよ、その人。ルーマニア人で職を失い、子供に食べさせるものがないと物乞いをしても誰も信じてくれない。

だったらなんでもいいから食料をくださいと頼んでもそれを信じてくれる人もいなかったらしい。僕に神のご加護を!と何度も繰り返すんだ。子供に食べさせることができる!と。困っちゃってさ。

僕がやったことはそれでよかったと思うかい?、、、それにしても一体この国はどうなってしまったんだろう!?」

これまでルーマニア人女性といえばイタリアでは家政婦や介護の仕事の口が結構あり、あまり無職という人を見かけたことはありませんでした。

物乞いも浮浪者かジプシー、アフリカ系の人はいても東欧系の人は私たちが住むピエモンテ北東部では多くないようにおもいましたから不況の波は立場の弱い人たちから先に襲っているように思えます。

笑えない話です。国家経済の破綻と薄氷で隔てられてるのみの今のイタリアの実情は1万キロの海の向こうの日本では実感できなくて当然でしょう。 具体的な問題点を挙げてみてもそれは日本で起こっていることと同じにも見えるし、イタリアがこれまでに回避してきたいくつもの困難な時期となんら違いないように思える。

これまではたとえば飲食店や商店は物乞いをする人たちを店内から追い出すことはほとんどありません。 
たとえば私が通う美容院のお兄さんは「わぁああ、お前またきちまったのか!」などといいながら相手になります。それが物売りなら買いはしないけど追い出しもしない。

パルマでは、仕事で入った気の利いたレストランに浮浪者が入ってくるとそこの店主が迅速に手招きして彼を厨房に招きいれ、温かいものを食べさせてから外に出すのを見ました。ここも決して追い出さない。

先日の「イタリア好き」で表紙を飾った老舗のお惣菜店「モスカ」の前にも黒人の物乞いがまるで当然の権利のように常駐していますが、自動ドア一つ隔てた内側のレジ担当のパオラさんは彼を立ち退かせたりしません。

でも何かが確実に変わってきていることを長く住む私たちは実感しています。
その一つはイタリア人一人ひとりの内側の変化が招くものかもしれない。

ビエッラの街中のバールで物乞いをするお年寄りに耳を覆いたくなるほどの言葉で罵倒する女性客を見たことがあります。(そういう言葉を吐ける女性の人相は当然それ相応に下品でしたが、、、)


クラウディオが今朝ルーマニア人の女性に費やしたのは11ユーロと買い物にかかった15分。
お人よしといわれるかもしれません。彼の友人には笑う人は一人や二人ではないでしょう。

でも本来ならカトリックの国イタリアに暮らす彼らが当たり前に考え、行っていたことでしょう。
そんなイタリアでずっとい続けてほしいと思いながら夕飯の支度を続けました。

献立は日本の白米に明太子そしてお味噌汁でした。
世界中の神様に感謝していただきました。




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