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ピエモンテからぶじゃねんの陽だまる山郷生活

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ピエモンテ牛のはなし

12月7日、今年もモンカルヴォへ『去勢牛品評会』を見に行ってきました。
『Fiera del Bue Grasso di Moncalvo』というのが正式名称で100年以上も続く伝統行事です。

農家では一昔前までは去勢され性格のおとなしくなった牛を農作業使っていました。それが一定年齢を過ぎると牛に代替わりをさせ、農作業に使わなくなった方をクリスマスの時期にあわせて淘汰し、クリスマスのご馳走としていただく。それが今ではクリスマスに去勢牛を食べる伝統となって残っているのです。


今では純粋に肥育を目的にしていますから餌から健康管理、牛舎の衛生管理まで細かな管理が求められます。

さて、モンカルヴォはピエモンテ中央に位置するモンフェッラート地域にある町。
この町は春先には地元産ワインフェアー、秋には白トリュフ祭り、そして暮れの去勢牛品評会と食に関連した伝統行事がありますが、いずれも観光客よりは地元の人たちのためのお祭りといった色合いが強いです。

会場にも見てのとおり女性は全体の10%未満。このイベントは男たちのイベントなのです。
このフェアーの特色といえば 

まず、牛は肥育者とそれを購入する精肉店が二人一組になって出品します。
評価に対して重要なのは肥育者より精肉店になります。大切なのは牛の良し悪しを見分ける目が精肉店側にあるかということ、それがないと消費者によいお肉が届かないし、良い肥育農家が育たないという考え方に基づいていると思います。

私もかれこれ5年以上はこの品評会に顔をだしているので半ばモスカさん御用達化している肥育家のグワスタヴィーニャさんとも顔見知り。彼は肥育農家とは呼べないでしょう。だって農家ではなく彼自身も本当はお肉屋さんなのです。彼の自宅の中庭で10頭ばかりの去勢牛を肥育しています。


彼の牛舎の床はセメントですが、その上に厚くわらが敷かれており、それは一日に最低2回は取り替えられます。飼料はふすまやとうもろこしなどいわゆる配合飼料に含まれているものを彼自身が配合し、脱脂粉乳や果ては生卵までを与えて大事に育てます。
牛舎の天井には厚くくもの巣が張り巡らされていますが掃ったりしません。自然の空気清浄機の役目を果たしてくれるから。
そうして可愛がって育てた去勢牛で一番良い出来のものをまずはモスカさんが購入してくれることを彼は願っています。

ビエッラの精肉店モスカの店主、ジョバンニ・モスカさんは経営を前代から譲られてからかれこれ40年以上このフェアーに参加しています。モンカルヴォの住民から尊敬を込めて『シニョール・モスカ!』と呼び止められ挨拶を受けますが、それは一朝一夕に得た賛辞でないことは明らかです。40年の重みです。

そんなモスカさんでも毎年、審査の日には緊張するようです。去年より遅く出発した私たちを見るなり
『今年は粒ぞろいだよ。よそのどこの牛も出来がいい!不景気で牛の買い付けも上手くいっていないと聴いていたんだがどうして、、、今年は手ごわいぞ。』
顔の表情はいつものゆったりした大旦那なのですが声がどうも暗い、、、 

私は肉用牛の目利きなどできませんからなんともいえませんが、牛のお尻をみればモスカさんがパオロさんから購入した去勢牛レオナルド(イタリア好きのピエモンテ号にも紹介されました)のものはまるでディズニーのアニメーション『小熊のプーさん』が蜂蜜を食べすぎで木の洞から出られなくなってしまったあのお尻を彷彿とする幸せなお尻。他の牛のお尻よりインパクトがあります。

モスカさんは以前、お肉の質はこうやって見るといいながら私に牛のお尻の皮を引っ張って見せてくれたことがありました。シャツをつまむ感覚で引っ張るのだと。レオナルドのお尻を引っ張ってみると脂肪でぶよぶよなんてしていません。ぴんと張って筋肉隆々な感じ。

さて、緊張の瞬間!審査発表です。 
去勢牛の購入者と肥育者の間ではすでに購入価格は決定していますが、ここで受賞をすると肥育者には購入者が割増料金を支払います。購入した精肉店はその分お店での去勢牛の売れ行きがよくなります。モスカさんのライバルの精肉店は先に一般部門で一等を受賞しています。モスカさんも手ぶらではお店に帰れない状況です。

なかなかモスカさんの呼び出しがない。不安が募り募ったところで声がかかります。
『、、、特別重量部門グランプリ、体重1250キロ、肥育者ベルガマスコ村パオロ・グワスタヴィーニャ、購入者モスカ精肉店!!』
でもその声が人の大きな完成で聞こえない、、、大きな拍手が起こり、なんだか私もわけのわからないまま歓声を挙げて喜んでしまいました。

先日のイタリア好きにも登場したパオロさんがモスカさんと交渉中とあった去勢牛レオナルドですが、この牛は昨年のカッルゥの品評会で1等を取った牛でした。パオロさんはところがそれを売らずにモスカさんのためにさらに肥育を続けてきたのでした。 
思い入れたっぷりのレオナルドがグランプリ、もう一頭パオロさんからモスカさんが購入したものが総合の1等、メルリさんという別の肥育農家から購入したものが2等。総合グランプリは今年は逃したものの3頭入賞したことはこれまでもあまり例がないです。好成績の歳となりました。


さっそくこれらの入賞牛にはモスカが所有していることを示すため毛を刈り込んでいきます。それをするのは長年モスカさんの仲買人をつとめてきたおじいさん。すでに引退をしていますが買い付けの締めには必ず顔を出し、品評会にも参加します。モスカさんは彼の生きがいを奪ったりしません。

ジョバンニ・モスカさん自身、お店の経営のほかのことは全て息子のアルベルトに任せてしまっても牛の選定と買い付けだけは誰にも任せません。

息子のアルベルト曰く「あの人からそれを奪ったらそれは親父に死ねっていうのと同じだからね。」

今年の報告はこれでおしまい

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